あがり症の方の中には、緊張すると「顔が赤くなっていないか」「手が震えていないか」など、すぐに自分に意識が向いてしまうケースがあります。
そうすると「緊張がバレないようにしなければ」と、よけい緊張に意識が向いてしまい、手の震えなどの身体反応が過剰に起こることがあります。
「大勢の人に見られている……」「うまく話さなければいけない……」「失敗してはいけない……」こういった自意識過剰は緊張を倍増させます。
ただ、ほんの少しポイントを押さえるだけで、自意識過剰は解消できる可能性があります。
この記事では、「そもそも自意識過剰とは何か?」を解説した上で、あがり症の人が自意識過剰を解消する5つの方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
はじめまして。桐生 稔(きりゅうみのる)と申します。
私の肩書きや経歴は以下の通りです。
- 株式会社モチベーション&コミュニケーション 代表取締役
- 「伝わる話し方」ビジネススクールを運営
- 全国で年間2000回セミナーを開催
- 新卒入社後営業成績ドベから心理学を学び全国売り上げ達成率No.1に
- 現在では「伝わる話し方の専門家」として活動し話し方の本を多数出版
Contents
1. あがり症の人は自意識過剰?
あがり症の原因はいくつかありますが、その中の一つに自意識過剰があります。
まずは「自意識過剰とは?」について解説します。
1-1. 自意識過剰とは?
自意識過剰とは、「周りからどのように見られているか」など、自分自身に関することを必要以上に意識しすぎてしまう状態のことを指します。
自分自身のことを意識することを「自意識(自己意識)」と呼びますが、自意識は大きく以下の2種類に分類されます。
※自意識については脳科学辞典の「自己意識」を参照ください。
自意識の種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
公的自意識 | 他人から自分がどのように思われているかを気にすること | ・変な話し方だと思われていないか…… ・相手を不快にさせていないか…… |
私的自意識 | 自分自身の感情や内面など、他人から見えない部分を気にすること | ・何だかイライラする ・ずっと気持ちが落ち着かない |
一般的に自意識過剰といわれる場合は、公的自意識が高くなっている状態です。
なお、日本人は公的自意識を強く持つ人の割合が多いといわれています。
株式会社マンダム社の「視線耐性とデジタルコミュニケーションに関する調査」において、全世代の半数以上が他人からの視線にストレスを感じていると報告されました。
また「他人の視線が怖い」と回答した世代も、平成世代では61.8%、昭和世代では37.5%存在しています。
他人からどのように見られているのかを気にしている人が多いことが分かります。
1-2. 自意識過剰なあがり症の人の特徴
自意識過剰な人は、以下のような考え方の特徴を持っています。
- スピーチしている自分がどのように見られているか異常に気になり、不安になってしまう
- 人前で話しているときに身だしなみ(髪型など)が気になって、直さずにはいられない
- プレゼンの内容が伝わっていないのではないかと感じ、さらに緊張してしまう
- 顔が赤くなっているのを気づかれたくないと思い、資料ばかり見て話してしまう
- 声の上ずりや手の震えがバレないよう、早口で原稿を読み上げてしまう
どんな人でも、周りからどう見られているかは気になります。
しかし、必要以上に気にしてしまうと、不安を感じやすくなり、赤面・震え・発汗などの身体反応が高まってしまうことがあります。
頭が真っ白になり、声が詰まってうまく話せなくなるといったことも起こり、「自分はあがり症だからうまく話せない……」「スピーチなんてもうやりたくない……」と感じる人もいます。
2. あがり症の人が自意識過剰を解消する方法
ここからは、あがり症の人が自意識過剰を解消する方法を5つ紹介します。
2-1. 他人はそこまであなたのことを認識していない
まずは、周りの人はあなたのことをそこまで強く意識していないことに気づくことです。
あなたが自分のことを強く意識しているように、人は誰でも自分のことに一番興味があります。
例えば、修学旅行で撮った集合写真を見るとき、最初に探すのは自分ではないでしょうか。
まっさきに一緒に映っている友達や先生を探す人はいないでしょう。
また、段差に足を引っ掛けてつまずいたとき、自分は「恥ずかしい……」と感じるかもしれませんが、逆の立場で考えてみると、つまずいた人を見て「大丈夫かな?」と思うくらいで、それ以外には特に何も思いません。
仮にスピーチで噛んでしまった場合でも、自分は「やってしまった……」と感じるかもしれませんが、聞いている立場からするとそのまま聞き流していることがほとんどです。
このように、他人はそこまで気にしていません。
「他人はそんなに気にしていない」と割り切れれば、自意識過剰であがってしまうことは少なくなるでしょう。
2-2. ものごとの捉え方の癖を把握する
自分のものごとの捉え方の癖を把握するアプローチです。
ものごとの捉え方は、人によって大きく異なります。
例えば、友人とカフェで話しているときに、いつもより口数が少ないと「何か変なことを言ってしまったかな……」「気に障ることをいってしまったかも……」と考える人もいるでしょう。
しかし、「今日は疲れているのかな」「仕事で嫌なことでもあったのかな」と考えて、そっとしておく人もいるはずです。
相手への気遣いも大切ですが、前者のようにあまりにも自分が言ったことを気にしてしまうと、緊張して会話ができなくなります。
プレゼンの場面であれば、もし聞いている人があくびをした場合、「自分の話が退屈なのかな」と考えるのではなく、「もしかしたら昨日夜遅くまで仕事をしていたのかも」と、あえて気にしないのも一つの手です。
自分のものごとの捉え方の癖を把握し、違う視点で捉えられるようになると、自意識過剰によるあがり症を解消するスピードが速くなるはずです。
2-3. 何のために話しているのかに意識を向ける
「今、何のために話しているのか」に意識を向けることも、自意識過剰を解消する効果的なアクションです。
例えば商品のプレゼンをするのであれば、主な目的は商品の特徴を伝え、聞き手に利益や恩恵をイメージしてもらうことです。
であるにもかかわらず「スマートなプレゼンをしなくてはいけない」「噛まずにうまく話さなくてはならない」と考えてしまうと、意識がそちらに向いてしまい、話すことに集中できず、あがってしまう原因になります。
好きな人に告白する際も「OKをもらうこと」が重要であって、「カッコよく告白すること」が重要ではないはずです。
「伝えたいことを伝える」というアクションに意識を向けることで、自意識過剰になることを避けられるでしょう。
2-4. 自分の中で目標をつくる
自意識過剰の人は、他人からどのように思われたいかを目標に据えがちです。
「うまく話せる人だと思われたい」「緊張しないですごいねと言われたい」などです。
しかし、自意識過剰を解消したのであれば、他人の評価ではなく、自分の中に目標を持つことです。
例えば「この前は早口になってしまったけど、今回は前回よりもゆっくり話そう」や「前回は表情が固かったから、今回は笑顔を意識して話してみよう」などです。
他人の目線を気にしてしまうと他人の状態に左右されるので、自分で気持ちがコントロールできなくなってしまいます。これもあがってしまう原因です。
目標を決める際は、あくまで自分の中で決めていきましょう。
2-5. 伝え方のトレーニングを積む
どうしてもあがってしまうのであれば、トレーニングで改善を図るのもよいでしょう。
伝え方のトレーニングを積み、話が伝わっているという自信を持つことで、あがらず話せるようになります。
以下のような方は、伝え方のトレーニングを受けてみてもよいかもしれません。
- 緊張すると声が出なくなってしまう人
- どれだけ準備しても人前に出ると話が飛んでしまう人
- 伝え方に自信がなく本番になると声が小さくなる人
- 突然話を振られると緊張して「何もありません」と答えてしまう人
- 初対面の人と話すとき何を話せばよいかわからない人
伝え方のスキルを身につけることで、自意識過剰になる原因を取り除けるでしょう。
3. まとめ
自意識過剰は、少し考え方を変えたり、トレーニングを積んだりすることで改善できるものです。
今回ご紹介した解消方法を試して、自意識過剰を改善し、あがり症の克服に向けて進んでいきましょう。
もし、伝わる話し方のトレーニングを積み、あがり症を解消したいとお考えであれば、弊社「モチベーション&コミュニケーションスクール」の「あがり症を克服するセミナー」の受講をご検討ください。
このセミナーでは、緊張をほぐす方法から自信を持って話せるコツまで、実践形式で学べます。
その日からすぐに使えるスキルをお伝えしますので、即実感できるはずです。
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