【あがり症】トラウマとは?引き起こされる原因と克服方法をご紹介
「ふとした瞬間に過去のつらい記憶がよみがえる」
「また失敗するのが怖くて一歩を踏み出せない」

トラウマとは、過去のショッキングな体験によってできた心の傷のことです。
あがり症の方の中にも「以前、人前で話して失敗した経験がある」「緊張して恥ずかしい思いをした」といった経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、こういったつらい経験を忘れることはたいへん難しいものです。

そこで、この記事ではトラウマの概要と原因、そして克服方法についてご紹介します。

「トラウマを克服して一歩前に踏み出したい!」とお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

はじめまして。桐生 稔(きりゅうみのる)と申します。
私の肩書きや経歴は以下の通りです。

  • 株式会社モチベーション&コミュニケーション 代表取締役
  • 「伝わる話し方」ビジネススクールを運営
  • 全国で年間2000回セミナーを開催
  • 新卒入社後営業成績ドベから心理学を学び全国売り上げ達成率No.1に
  • 現在では「伝わる話し方の専門家」として活動し話し方の本を多数出版

1.あがり症の原因の一つ「トラウマ」とは?

1.あがり症の原因の一つ「トラウマ」とは?
トラウマとは、心的外傷と言われ、心理的に強い負荷となる出来事のことを指します。
おもに下記のような出来事からトラウマになることがあります。

  • 自然災害
  • 事故
  • 犯罪被害
  • 虐待
  • いじめ
  • 過去の失敗

これらは一例ではありますが、「過去の記憶がふとよみがえってつらくなる」など、特定の経験がその後の生活に影響をもたらす場合があります。

たとえば、

  • できます!と引き受けた仕事でミスしてしまい、期待に添えなかった…
  • スピーチで緊張してしまい、言葉が出てこなかった…
  • 小学校の本読みで笑われたことがあり、それ以来人前で話すのが怖くなった…

など、その後似たような状況へ陥ったときに「自分には無理かも…」と考え、行動をやめてしまう場合があります。

2.トラウマが引き起こされる原因とは?

2.トラウマが引き起こされる原因とは?
トラウマが引き起こされる原因は主に2つが考えられます。

  • 防衛反応
  • 馴化(じゅんか)

1つ目の「防衛反応」とは、受け入れがたい状況下におかれたときに、心への負担を軽減させるため、脳がその状況から回避させようと働く心理現象です。
いわば「心の安全装置」が作動しているのです。

たとえば犬にかまれた経験がある場合、犬を見ると当時の記憶(トラウマ)を思い出し「近づいたらまたかまれるかもしれない」と恐怖を感じます。
あえてトラウマを思い起こさせ、緊急事態を回避する現象といえるでしょう。

また、2つ目の「馴化」とは心理学用語の一つで、刺激(トラウマ)に徐々になれていくことを指します。
刺激(トラウマ)に何度も触れることで、それ自体に自分をなれさせていく心理現象です。

たとえば、けたたましく鳴り響く目覚まし時計の音も、毎朝聞いているうちになれていきます。これも馴化の一つです。
今後同じ事態が起こったとき、体がなれて耐えられるよう、トラウマが引き起こされるのではないかと考えられています。

トラウマになる理由については、動画でもお伝えしています。
詳しくは「【トラウマの克服】人前で話して失敗した記憶を生かす方法」をご覧ください。

3.【あがり症】トラウマの克服につながる3つの方法

効果が期待できると思われるトラウマの克服方法について3つご紹介します。

3-1.規則正しい生活を心がける

私たちの脳内には「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれる不安や恐怖を感じる箇所があります。
不規則な生活で睡眠不足の状態に陥ると、この扁桃体の活動を抑える機能が低下し、不安や恐怖を感じやすくなります。

寝不足だとイライラしたりしますよね。
本来は「同じ時間になると眠くなる」といった睡眠リズムを作ることがベストです。
すると扁桃体における過活動が抑制され、精神が安定しやすくなると言われています。

また睡眠の質を上げるために、太陽が出ている時間にしっかり活動し、栄養のバランスを意識した食事と適度な運動を心がけることも大切です。

食事は、たんぱく質・糖質・脂質の三大栄養素に加え、ビタミンやミネラルを積極的に取り入れるとよいでしょう。
運動は、朝のウォーキングや階段の上り下りなど、じんわり汗をかく程度が望ましいです。
さらに規則正しい生活は、セロトニン(幸福感をもたらす脳内物質)の生成を促す効果も期待できます。

あがり症における脳のメカニズムについての詳細は「あがり症の症状を引き起こす脳内のメカニズムとは?」をご覧ください。

3-2.トラウマは「忘れる」より「活かす」と考える

トラウマを少し前向きに捉えるなら、「トラウマの原因となった経験があったからこそ、今の自分がある」とも考えられます。
この経験を今後の活動に役立てられれば克服につながりやすくなります。

具体的には、ABC理論に当てはめて思考を深める方法がおすすめです。
ABC理論とは、20世紀を代表する臨床心理学者アルバート・エリスが提唱する論理療法の一つです。

たとえば、

「営業先で突っ込まれて何も言えなかった」「緊張して声が出なかった」

というトラウマを下記のように考え落ち込む方もいるでしょう。

Activating events(出来事):営業で緊張して声が出なかった
Belief(解釈):だから契約が取れなかった
Consequences(結果):自分は営業に向いていない

ところが、例えAの出来事は変わらなくても、Bの解釈を変えて、Cの結果を改める人もいます。

Activating events(出来事):営業で緊張して声が出なかった
Belief(解釈):緊張すると体の筋肉が固まって声が出なくなることがわかった
Consequences(結果):今度はゆっくり落ち着いて話すことで、ちゃんと声がでるようにしたい

ABC理論をよい方向性にあてはめて考えてみると、今後の課題が明確になります。

ABC理論についての詳細は「【トラウマの克服】人前で話して失敗した記憶を活かす方法」をご覧ください。

3-3.「克服したいこと」のハードルを下げてチャレンジする

トラウマを思い出したり、触れたりすることに抵抗を感じる方も多いでしょう。
そのときには、触れる対象のハードルを下げてチャレンジすることをおすすめします。

たとえば、ナイフで怪我をした経験がトラウマとなり、ナイフを見るだけで恐怖を感じるとします。
この場合、ナイフの写真を見ることからから始めます。

そして「写真を見ても怖くない」と思えたら、「遠目から本物のナイフを眺める」→「近くでナイフを眺める」→「ナイフに触ってみる」というように、少しずつハードルを上げていきます。

人前で話したときに失敗したというトラウマがある場合も、
「その経験をノートに書き出してみる」
「まずは同じような経験をした人たちとシェアをしてみる」
「いきなり本番ではなく人前で話す練習をしてみる」

など、小さなハードルを設けて、少しずつクリアしていくことをおすすめします。

4.まとめ

トラウマの克服方法は個人によって異なりますので、ぜひ無理のない範囲で「これならできそう」といった方法から実践し、ゆっくりなれていきましょう。

一度に改善しようと思わず、少しずつ自分のペースでトラウマと向き合っていきましょう。

克服方法についてさらに詳しく知りたい場合は「モチベーション&コミュニケーションスクール」主催の「あがり症・緊張を改善するセミナー」へお越しください。

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私たちと一緒にあがり症を克服していきましょう!