「あがり症」と「対人恐怖症」とは何か?改善方法をご紹介
「人前で話すことが苦手」
「人前に出ると思わず手が震えてしまう」

日頃の生活において、人との関わりや会話で強い不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
これらは主に「あがり症」や「対人恐怖症」といわれており、まとめて「社会不安障害(SAD)」と呼ぶ医療関係者の方もいらっしゃいます。

この記事では、あがり症や対人恐怖症の方に起こりやすい状態と簡単に取り組める改善方法をご紹介します。
人前に出ることや、他人と関わる際、不安や恐怖を感じることでお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

はじめまして。桐生 稔(きりゅうみのる)と申します。
私の肩書きや経歴は以下の通りです。

  • 株式会社モチベーション&コミュニケーション 代表取締役
  • 「伝わる話し方」ビジネススクールを運営
  • 全国で年間2000回セミナーを開催
  • 新卒入社後営業成績ドベから心理学を学び全国売り上げ達成率No.1に
  • 現在では「伝わる話し方の専門家」として活動し話し方の本を多数出版

1. あがり症とは?

1. あがり症とは?

「あがり症」は、~症とありながらも、学術的な用語および病名ではありません。
辞書で調べると「人前で極度に緊張しやすい質(たち)であること」と記載されています。

あがり症に当てはまる方のなかには、人前に立つと以下のような身体症状を伴う場合があります。

・赤面する
・大量の汗をかく
・動悸が激しくなる

「失敗したらどうしよう」「恥をかくのではないか」という思いから、次第に人前へ出ることを避けるようになるケースです。
あがり症の方に主に起こりやすい主な状態と改善方法についてご紹介します。

1-1. あがり症の方に起こりやすい主な状態

あがり症の方に起こりやすい主な状態のなかに、「人の視線に恐怖を感じる」ことがあります。
周囲や相手の視線に恐怖を感じ、会話の際に相手と目を合わせることが難しい場合があります。

人によっては、「自分の視線が相手を不快にしてしまうのではないか」と不安を感じてしまうこともあるようです。

また授業中に黒板で文字を書く、来客にお茶を出すときなど、人前で何か動作をする際に手足が震えてしまうなどの状態がみられます。
「緊張から顔の火照りを感じる」「過去に赤面していることを指摘された」などの理由から「自分の顔が赤くなっていないか」と不安を感じる方もいらっしゃいます。

特に以下のような場面で、とても緊張しやすいです。

  • 大勢の人がいる前で話す
  • 初対面または目上の人と話す
  • 複数名の中で会話する
1-2. あがり症の改善方法

あがり症で悩んでいる方へ、簡単にできる改善方法を3つご紹介します。

①本当の「深呼吸」を身につける

不安や恐怖を感じると、呼吸が浅く、速くなることがあります。
「深呼吸」をきちんと実践して呼吸が整えられるようになると、動悸や震えなどの状態をやわらげる効果が期待できます。

本当の深呼吸は、吸うよりも吐く方が大切です。息を吸うときに交感神経が優位になり、吸うときに副交感神経が優位になるからです。

緊張して言葉に詰まったときや、プレゼン・発表などの大事なシーンの前に落ち着かないときなどにおすすめしたい、深い呼吸法をご紹介します。

  1. 体の力を抜き、腹斜筋に手を当てて長くゆっくり息を吐く
  2. 息を吐きったら、そこからさらにひと吹き息を吐く(2秒ほど)
  3. 思いっきり息を吸う

上記のステップを、繰り返しおこないます。
限界からのひと吹きを行うことで、息を思いっきり吸うことができます。

たくさんの息を吸って吐くことで、横隔膜と内臓が活発に動き、体が温まることでリラックス効果が得られます。

本当の「深呼吸」について、下記の動画でわかりやすく説明しておりますので、ぜひご覧ください。
「緊張して言葉に詰まる・落ち着いて話せない方は必見!リラックして話せる深い呼吸法」

②筋肉をゆるめる「筋弛緩法」を身につける

不安や恐怖による感情で筋肉に力が入り続けることで、体のこわばりや心身が緊張状態になることがあります。
「筋弛緩法」をおこなうことで、筋肉と心の緊張をやわらげる効果が期待できます。筋弛緩法(漸進性筋弛緩法)は、約100年前にアメリカの精神科医エドモンド・ジェイコブソンが開発した方法です。

方法は、以下の順番で各部位にぎゅーっと力を入れて10秒間キープし、ストンと力を抜き、ダラーっと20秒間脱力しましょう。

両手 → 両腕 → 背中 → 肩 → 首 → 顔 → お腹 → 足の下側 → 足の上側 → 最後に全身

  1. 両手 : 親指を曲げて握りこぶしを作り、両腕を伸ばした状態で力を入れて、脱力する
  2. 両腕 : 握りこぶしを肩に近づけ、腕を曲げた状態で上腕全体に力を入れて、脱力する
  3. 背中 : 2と同様に曲げた上腕を外側に広げ、肩甲骨同士を引きつけた状態で力を入れて、脱力する
  4. 肩 : 両肩を上げ、首をすぼめた状態で肩に力を入れて、脱力する
  5. 首 : 首を右側にひねった状態で力を入れて、脱力する(左も同様に行う)
  6. 顔 : 口をすぼめて奥歯をかみしめ、顔全体のパーツを中心に引き寄せた状態で力を入れて、脱力する
  7. お腹 : お腹に手をあて、その手を押し返すように力を入れて、脱力する
  8. 足の下側 : つま先までピンと足を伸ばし、足の下側の筋肉に力を入れて、脱力する
  9. 足の上側 : 足を伸ばしつま先を上に曲げ、足の上側の筋肉に力を入れて、脱力する
  10. 全身 : 1~9全てのパーツに力を入れて、脱力する

③イメージトレーニングを行う

緊張しそうな場面が近づいてきたら「イメージトレーニング」を行うことで、本番での緊張をやわらげる効果が期待できます。

イメージトレーニングでは、事前に実際に話す場面をできるだけ解像度高く想定しておくことです。誰がいて、どんな場所で、どんな話をして、どんな反応があるか、仮に想定しておきます。
何度も繰り返し行うことで、脳がその状況に慣れていき、本番でも落ち着いて話すことができます。

人と会う前に、「まずなんて声をかけようか?」「何について話そう?」などを考えておくだけでも、緊張が軽減されることがあります。

2. 対人恐怖症とは?

2.対人恐怖症とは?

対人恐怖症とは、人との交流や接触に対する極度の不安を感じる症状です。あがり症と同様に、「人前に出ること」や「人と会話すること」に恐怖を感じる状態のことを指し、1対1の会話でも同様の状態が起こります。
対人恐怖症の方に起こりやすい主な状態と改善方法についてご紹介します。

2-1. 対人恐怖症の方に起こりやすい主な状態

対人恐怖症の方は、生活に支障をきたすほど他人との関わりを回避する傾向があります。
失敗を恐れて学校や職場へ行けなくなるケースや、自宅から出られなくなるケースもあります。「このままではいけない」と思いながらも、恐怖から自分自身をコントロールしきれず悩む方も少なくありません。

「他人と関わることを回避したい」という心理の裏には、自己肯定感の低下があります。
「どうせできない」「失敗するに決まっている」などの自己肯定感の低下により、初対面の人ばかりでなく知人へ会いに行くことも避ける傾向があります。

2-2. 対人恐怖症の改善方法

対人恐怖症の状態を放置すると、ますます人を避けるようになる恐れがあります。
また学校や職場に行けなくなるなど、生活にも支障をきたす可能性もあるでしょう。
以下、対人恐怖症の改善方法についてご紹介します。

①規則正しい生活を心がける

対人恐怖症の状態に陥る原因は、脳内で分泌される「神経伝達物質」のバランスが乱れていることにあると言われています。
そのため、規則正しい生活を心がけましょう。

  • 決まった時間に起床・就寝する
  • 睡眠時間をしっかり確保する
  • 栄養バランスを考慮しつつ食事を摂る
  • 適度な運動をする

規則正しい生活を心がけることで、対人恐怖症の状態以外にも、ストレス後に感じることが多い「倦怠感」の改善にも効果的です。

②自己肯定感を高める

自己肯定感とは、自分自身を「かけがえのない大切な存在」だと認識することを指します。
自己肯定感が低下することで、自身よりも他人からの評価や感情を優先させてしまうため、自身の振る舞いが他人へ不快感を与えてしまうのではないかという恐れに変わり、対人恐怖症の状態に陥りやすくなります。

簡単にできる「自己肯定感の高め方」をご紹介します。

  • 怒りや悲しみ、恐怖など「感情が大きく動いた瞬間」を書き出し、自身を客観視して分析する
  • 過去にあった成功体験を書き出す
  • 小さな親切を積みかさねる(道端のゴミ拾い、家族がおこなう前に掃除をするなど)

自己肯定感を高めることで、自信につながります。
「周りがどう思うか」も大切ですが、まずは「自分がどうしたいか」という思いを取り戻すことが大切です。

3. まとめ

この記事では「あがり症」と「対人恐怖症」の方に起こりやすい主な状態と、改善方法について解説しました。
本記事でご紹介した改善方法はひとりでも実践できるため、無理せず、できることからひとつずつ始めていきましょう。

あがり症や対人恐怖症にお悩みの方は「モチベーション&コミュニケーションスクール」主催の「あがり症・緊張を改善するセミナー」へお越しください。

当セミナーは年間約2,000回開催しており、過去5万人のセミナー参加者から「わかりやすかった!」とのお声をいただいております。

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